2023年、今の日本は「少子高齢化による人手不足」や「働き方改革による長時間労働の見直し」により、慢性的な人手不足・労働力不足に直面しています。この問題解決の一助として、RPAを始めとする業務自動化やITツールを利用したDX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率改善の動きが活発化しています。
しかし、大企業やITベンチャー企業がこれらの取り組みを積極的に進めている一方で、既存の中小企業ではまだ普及の余地が多くあるのが現状です。中小企業にとっての人手不足・労働力不足は深刻な課題であり、DXの導入が必要とされているにもかかわらず、です。
なぜ、必要な技術の普及が進まないのか。その理由の大半はDXを推進するITベンダーと中小企業のお客様との「コスト認識の乖離」にあると私は考えます。
例えば皆さんが自社の事務作業の自動化を試してみたいと考えたとします。初めての自動化、使い勝手も効果も未知数だけれど、とにかく始めてみようという意欲を持ってITベンダーに相談することにしました。ざっくりとした要件のヒアリングがあって、まずはスモールスタートでの見積もりをお願いしたところ出てきた見積金額は120万円でした。この金額について皆さんはどう感じますか?高いでしょうか?適正でしょうか?
もちろん、実現したい機能によって見積もり金額は大きく変わります。スモールスタートといっても複雑な機能を実現しようとすれば100万円を超えるケースも多々あります。ただ、多くのお客様にとっては「とにかく始めてみよう」という試みに100万円の予算を充てることは難しいのではないでしょうか。「ゼロが一つ違う」という感想を持たれる方も多いと思います。
ここで誤解の無いようにしていただきたいのは、ITベンダーが不当に高額な見積もりを出しているわけではないという点です。お客様の目的を達成するために適切なソフトウェア、ハードウェアを選定して導入し、必要であれば開発を行って納品するとなると小さな案件でも100万円を切ることは難しいのが現実です。
つまり、簡単に言うと中小企業のDX化という需要に対して今のITベンダーの供給体制はミスマッチになっているということなのです。
やりたいことは本当に小さな業務で、完全自動化でなくてもいい、厳密でなくてもいいから、ちょっとでも現在の業務を楽にしたい。手始めに10万円で何かできることはないか?という要望に応えることのできる、小回りの利く御用聞きのようなIT屋が必要なのではないだろうか。私が起業に至ったのはそういう思いからでした。
IT技術は日々進化しています。高額なコストをかけなくとも出来ることは沢山あります。DXの恩恵を本当に享受すべき中小企業、そこで働く従業員の方々がもっと気軽にRPAをはじめとしたIT技術に触れることで、その便利さを実感していただけたら。その結果としてお客様の労働環境改善のお手伝いが出来たら本当にうれしく思います。
お客様に笑顔で「ありがとう」と言っていただける仕事をすべく、日々精進してまいりますのでよろしく御願い致します。